2020年1月の星空情報です

2020年1月の星空情報です。

みなさん、こんにちは。
今年も一年間ご愛読頂きありがとうございました。
来年は、火星の準大接近など、たくさんの天文現象があります。
また、オリオン座に異変が起きています。オリオン座の赤い一等星が記録的に暗くなり、
二等星の仲間入りをしています。今までは全天で9番目の明るさで輝いていたのですが、
今は20番目以下の順位まで下がってしまっています。
今月も盛りだくさんな内容です、詳しくは記事内でご確認ください。

〈目次〉
★1月の惑星たち
★1月の天文現象カレンダー
★1月の星空情報



★1月の惑星たち
水星 ×1月10日に外合になり太陽に近く観測できない。
金星 ○夕方の西空でぐんぐんと高度を上げています。今年の金星は年始から6月4日の内合まで、形と大きさの変化を観察してみてください。
火星 △日の出前低空に上がってきます。
木星 ×太陽に近すぎて観測不適
土星 ×1月14日に合となり、太陽に近すぎて観測できません。
天王星 ○1月19日東矩 宵の口に南西の空。
海王星 △夕方、南西の空低い位置。

★1月の天文現象カレンダー
1月1日(水)元旦 初日の出
1月4日(土)しぶんぎ座流星群
1月10日(金)ふたご座η(イータ)とふたご座μ(ミュー)の星食が起こる
     水星が外合


1月11日(土)満月。半影月食が起こる。満月の時は、クレーターはあまり見えませんが、海の部分の色や、クレーターから四方八方に広がる光条が良く見えます。
1月13日(月) 成人の日
1月17日(金)下弦の月 深夜過ぎから明け方に見える半月です。月のクレーター観察の好機です。

1月25日(土)新月 前後数日は一晩中月明かりの影響がなく、星空の観測に絶好。
1月28日(火)変光星はくちょう座χ(カイ)が極大光度



★1月の星空情報

※全ての図版は、クリックやタップをするとさらに大きく表示できます※
☆オリオン座に異変が!
この冬なんといっても一番の話題は、冬の星座の代表格オリオン座でしょう。まずはオリオン座を実際の星空でご覧になってみてください。オリオン座にはベテルギウスとリゲルの2つの一等星があり、普段はほぼ同じ明るさで見えていますが、今年はベテルギウスがリゲルと比べて明らかに暗くなってしまっています。ベテルギウスは不規則変光星で、これまでも明るさが変わる星として知られてきました。そのベテルギウスがこれまで観測されたことがないほど暗くなっています。

☆ベテルギウスはどんな星か?
ベテルギウスは赤色超巨星に分類される巨大な星です。星の一生のうちの最後の段階にあります。太陽や星座を構成する星たちは、中心付近の高温高圧の場所で、核融合反応が連続的に起こり、核融合反応で生み出される莫大な熱と光で自ら輝いています。こうした星を恒星と言います。ちなみに恒星の周りを回っているのが惑星です。地球も太陽のまわりを公転する惑星のひとつです。

ベテルギウスは、星の一生のうちの最後の段階にあると書きましたが、核融合反応が最後の段階まで進み、燃料がなくなりつつあります。核融合反応がとても不安定になっているのです。そのため中心部で産み出される光や熱も不安定に変動していて、年単位の時間の流れの中で見ると、不安定に明るくなったり暗くなったりするのです。まるで古い車の調子の悪いエンジンのようでもありますね。

ベテルギウスは、太陽の約1000倍も直径がある巨大な星です。地球を直径1センチのビー玉とすると、太陽はその100倍の大きさ、例えると直径1メートルのトラックのタイヤの大きさの星です。さらにその1000倍……ということは、地球1センチのビー玉に対して、ベテルギウスは、直径1キロメートルもの大きさということになります。

ベテルギウスは現在は一等星ではなく、2等星に分類されるほど暗くなってしまっています。長年の観測結果から予測すると、1月中旬からは明るさが回復してくるはずなのですが……。

☆明るさの観察の仕方
普段からオリオン座を余程じっくり観察していない方は、今日いきなりオリオン座を見てもベテルギウスが暗くなっているとは分かりません。
まずオリオン座のベテルギウス、ベラトリクス、サイフ、リゲルの明るさをじっくり観察してみてください。今までならリゲルとベテルギウスがほぼ同じ明るさか、じっくり見るとベテルギウスが少しだけリゲルより暗いかな?という感じで見えていました。
それが、今オリオン座のベテルギウス、ベラトリクス、サイフ、リゲルの4つの明るさを比べてみると、リゲルがその4つの中では明るく、ベテルギウスの明るさは、ベラトリクス(1.6等)の明るさとほぼ同等まで暗くなっているのが分かるでしょう。
今後どこまで暗くなるか、これも注目のポイントです。
オリオン座の三つ星、アルニタク1.7等 アルニラム1.7等 ミンタカ2.3等、それとサイフ(2.1等)と比べて継続的に観察してみてください。
これまでの長い間の観測から、1月中旬ごろには、明るさは戻っていくと考えられていますが、今回は今までよりずっと暗くなっていますから、今までとは違う光度変化をする可能性がありますし、果たして今までのように明るくなってくれるのか、それも分かりません。

将来の予測はできませんが、今のこのベテルギウスの暗さはこれまでは無かったことですし、一生に一度の体験かもしれないと思って楽しみながら観察を続けるのが良いと思います。
望遠鏡を持っていなくても、都会でもくっきり観察できる観察対象ですから、本当に誰もが楽しめるという意味でも価値があるのです。
そして、これまでそこまでオリオン座をじっくり観察したことがない人も、今、ベラトリクスと同じ位の明るさになっているのを実際の空で確認さえしておけば、もし普段通りの明るさ(すなわちリゲルと同等の明るさ)に戻ったのを夜空で再度確認できれば、いかに今冬のベテルギウスが暗かったか後で改めて認識できることになります。
ぜひ見逃さないようにしてください。千載一遇のチャンスと言えることは間違いのない事ですから。

オリオン座の他の恒星と見比べて観察すると良いでしょう。下の星図に比較対象の星の明るさを表示しておきましたので観察に使ってください。

オリオン拡大減光比較small
オリオン広域減光比較マップsmall




☆日の出前の星空と初日の出時刻
関東付近で日の出1時間前の星空が下図です。夏の星座であるさそり座の頭部が上ってきています。今年秋に準大接近となる火星が1.6等級の明るさで見えています。日の出の位置は概ね図版下の↑の場所です。気象予報では、日本海側をのぞく場所では概ね初日の出が見られる天候のようですが、今年一番の冷え込みとなりそうですから、しっかり防寒して初日の出観望にのぞんでくださいね。

元旦日の出1時間前の星空small



元旦 初日の出時刻は、場所によって違います。日本国内で一番初日の出が早いのは、南鳥島午前5時27分ごろになります。反対にもっとも初日の出が最も遅いのは、日本の最西端 与那国島の午前7時32分ごろになります。

各地の初日の出時刻は、札幌 午前7時06分ごろ 仙台 午前6時53分ごろ 東京都内 午前6時50分ごろ 東京都小笠原村 午前6時20分ごろ 富士山山頂 午前6時42分ごろ 名古屋市 午前7時00分ごろ 金沢市 午前7時5分ごろ 大阪府 午前7時5分ごろ 岡山市 午前7時11分ごろ 広島市 午前7時16分ごろ 福岡市 午前7時23分ごろ 鹿児島市 午前7時17分ごろ 那覇市 午前7時17分ごろ 石垣島 午前7時27分ごろ となっています。

☆しぶんぎ座流星群
※観測のポイント
しぶんぎ座流星群は、8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群とともに三大流星群のひとつです。今年のしぶんぎ座流星群は月明かりの影響も受けず好条件ですが、残念ながら極大時間(流星が最も流れる時間)が1月4日の午後5時で夜間ではないため、1月4日の未明から明け方にかけての流星の数は1時間に15から20個程度と予測されています。観測は上弦の半月が沈んだ後、1月3日深夜過ぎから4日早朝、翌日の1月5日深夜過ぎから6日早朝の二日間になります。

☆しぶんぎ座流星群の流れ星の特徴
対地速度は秒速41km/秒程度で、対地速度が速いペルセウス座流星群秒速59km/秒や、しし座流星群71km/秒に比べると、ゆったりとした流れ方が特徴です。

☆流星観測のこつ
1.市街地であれば街灯が直接目に入らない場所で
2.上弦の月が夜半に地平線に沈んで月明かりの影響のない夜半過ぎから観測することをおすすめします。

☆可能であれば、星空の綺麗に見える海や山へ遠征して見てください。市街地での観測では、流星の数が予想されている数の数分の1の数になってしまうでしょう。

☆流星群の流れ星は、流星群の放射点(下記図版に図示)を中心に四方八方に飛びます。出来るだけ空を広く見て観測するのが、沢山の流れ星を見る秘訣です。

しぶんぎ座流星群ガイドマップ
しぶんぎ座流星群010405amsmall


☆冬の星座に親しむ(先月号と同じ内容です)
○冬の星座たちが見頃です。
冬の星空は夏とは逆に、天の川銀河の中心と反対方向を見ていることになります。そのため冬の天の川は、夏の天の川ほど濃くは見えません。しかし多くの1等星が散りばめられた冬の星座の中を横断しているので、星空のきれいな場所であれば淡いながら見つけるのはかんたんでしょう。

○冬の星座のさがし方
冬の星空は一年中でもっとも1等星が多くきらびやかで、太平洋側では空気も澄んで星座観察にはとても適した季節です。冬の星座さがしは、まず「オリオン座」を見つけます。オリオン座の左上に輝く赤い1等星ベテルギウス、全天で一番明るい恒星の「おおいぬ座」のシリウス、「こいぬ座」の黄色みがかった1等星プロキオンを結ぶと、大きな逆正三角形ができます。これが「冬の大三角」です。冬の大三角を目印にさらに大きな「冬の大六角形(別名:冬のダイヤモンド)」を見つけてそれぞれの1等星を含む星座をひとつひとつたどってみましょう。シリウス、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン リゲル。色も輝きもさまざまな個性豊かな一等星が形作る見事な姿をぜひ観察してみてください。冬のダイヤモンドを見つければ、冬の代表的な星座を見つけるのは簡単です。

冬の星座ガイドマップ



☆冬の1等星の色を比べて見よう。
冬の星座たちの1等星をよく見てみると、さまざまな色で輝いている事がわかります。赤い星、オレンジ色の星、黄色い星、白い星、青白い星。肉眼で観察すると、はっきり色が分かるのは、せいぜい2等星まで、それより暗い星は、白くしか見えません。それはなぜかというと、肉眼の感度の問題です。網膜の光を感じる細胞は、暗い星の色を見分ける事ができません。そこで登場するのが、双眼鏡や望遠鏡です。口径30mmの双眼鏡を使えば、3等星であれば色が分かります。口径50mmのラプトル50であれば肉眼の50倍の光を集めるので、4等星や5等星の星の色が分かります。

☆夜空に見える恒星の色はカラフル!
さて、星座を構成する星の色は何で決まるのでしょうか。それは星の表面の温度です。
赤い星の表面の温度は2500度から3000度 オレンジ色の星は4000度 黄色い星は5500度から6000度 白い星は8000度から10000度 青白い星は1万5000度から数万度にもなります。
ちなみに私たちの太陽の温度は6000度、光が強すぎて色を感知できませんが、星座の星たちと同じように遠くにあるとすると、黄色い星として夜空に輝くでしょう。

※※※重要なお知らせ※※※
大沼が担当してきた、この星空情報メールやフェイスブック、ツイッターでの星空情報、新製品情報の発信ですが、今月が最後になります。今後は、スコープテックの今村や他のスタッフが発信していく事になりました。

これまで長期に渡りご愛読頂きありがとうございました。来月からは、担当は変わりますが引き続き星空情報メールやSNSで発信される天文情報、星空情報をよろしくお願い申し上げます。

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※『重要なお知らせ』※
台風15号や19号などで被害に遭われた方へのご連絡。
9 月に台風15号の首都圏への上陸で、千葉県や伊豆諸島を中心に大変な被害が出ました。その被害からの回復がなかなか進まない中で、台風19号が再び列島を襲い、東日本を中心に記録的な降水量を記録し多くの命が失われてしまいました。その後の21号の接近でも予想外の降雨により大きな被害が再びでてしまいました。19号では、都心を流れる大河川も氾濫危険水位を超え、ぎりぎりの状況でしたが、堤防の決壊は免れ最も恐れていた人口過密地域での大規模な冠水は免れました。地球温暖化による極端な気象変化は今後ますます激しくなるとの学説もあり、こうした激甚災害に対する備えは急務です。普段からハザードマップを確認し、どこの道路が寸断するのか、土砂災害警戒区域や浸水区域内に住んでいなくても良く考えておく事が普段からの備えと早めの避難に結びついていくことになるのでは、と考えています。今回一連の暴風や洪水で被害を受けた皆様には、心よりお見舞いを重ねて申し上げる次第です。

台風や洪水被害で望遠鏡の被害に遭われた方は、特別に修理費を割引して対応いたしますので、弊社のフリーダイヤル0800-600-5759もしくは、メール(webmaster@scopetown.jp)でご連絡ください。災害適応の割引修理には罹災証明書のコピーが必要になりますのでお手元にご用意頂けますよう宜しくお願い申し上げます。
ご用意出来ない場合でもご相談ください。

修理は生活状況が落ち着いてからという方もいらっしゃると思いますが、修理時期、望遠鏡の修理のタイミングなども、ご都合に合わせられますのでご相談ください。

また台風被害で望遠鏡を逸失してしまい、今は望遠鏡自体が無いもしくは、処分してしまった方もできる範囲ではありますが、出来るだけの対応をいたしますのでご連絡ください。

●詳しくは下記リンク先をご覧ください。
ご愛用の弊社製品が地震、津波、台風、豪雨等の災害により不具合となった場合、修理料金を特別割引させていただきます。(適用地域に関しまして、災害救助法適用地域に準拠しますが、域外の方でも自然災害で望遠鏡が壊れた方はご相談ください。)

http://scopetown.jp/attention3.html


メールマガジンご意見などございましたら、下記のメールアドレス宛に感想など頂けると幸いです。

webmaster@scopetown.jp

よろしくお願い申し上げます!

2019年12月30日   
スコープテック 大沼 崇


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2019年12月26日(木)に全国で部分日食が観察できます!

2019年12月26日(木)に全国で部分日食が見られます。
食分は東京で0.39 太陽面の27%が月に隠されます。午後2時半ごろから始まり午後3時半ごろに最大食となり、16時30分ごろ日食が終わります。静岡から新潟より東の地区では、太陽が欠けたまま日没となる『日入帯食』となります。そこより西側では、日食の全経過が見られます。欠けたまま山並みに沈む太陽は、良い被写体になるでしょう。

この日食、日本では部分月食ですが、中東からインド、東南アジアでは金環日食となります。その地域にお住まいの方は特に見逃さないでください。アラブ首長国連邦の首都ドーハや、シンガポールなど、人口密集地域を通るので多くの人が金環日食を楽しむ事でしょう。
金環日食は、太陽と月が地球から見て完全に重なりますが、月の方が太陽より小さいため太陽が月の淵からはみ出て、輪ゴムのように見える日食です。皆既日食のように、太陽面が全て月に覆い隠されて、光がほとんど完全に遮られ空には星が輝きだし、真珠色のコロナや鮮紅食のプロミネンスが見えるようなドラマッチクな感動はありませんが、それでも見える地域の方にとっては、とても印象深い天文現象になるでしょう。

日食の観察には特別な注意が必要な事を書き加えておきます。日食メガネ(太陽を安全に観察するための専用の遮光メガネ)をお持ちでない方は、肉眼での観察は絶対にやめましょう。また日食メガネをお持ちの方も、古いものは遮光フィルターが劣化し濃度が薄くなっている場合もありますので、できれば望遠鏡販売店や量販店で新しいものを買い直した方が安全です。

日食メガネを入手することが出来なかった方でも、安全に観測する方法があります。

国立天文台の『日食の観察方法』をご覧ください。注意点とともに、日食メガネなしで安全に観察する方法が書いてあります。
https://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/obs.html

『警告』
また弊社の天体望遠鏡、ラプトル50、ラプトル60、アトラス60、アトラス80、SD-80ALでは、いかなる太陽観察もしてはいけません。望遠鏡本体が
樹脂製なので、火災の恐れがあります。また失明の危険もありますので絶対に天体望遠鏡で観測を行わないでください。
望遠鏡で直接太陽を覗いたら、一瞬で失明するほどの熱と光が望遠鏡の焦点に集まります。弊社はいかなる望遠鏡や双眼鏡
での日食観察をお勧めしません。


どうしても望遠鏡で日食観察したい人は、科学館やプラネタリウムへ行きましょう!
博物館や科学館の先生が、望遠鏡で太陽を見せてくれる時は、何重もの安全策が取られていますから、望遠鏡で太陽の観測をしたい時は、そうした場所で見せてもらうのが一番安全です。

大沼 崇20191226日食修正





誰からも愛されキャラの望遠鏡 ラプトル50とラプトル60

誰からも愛されキャラの望遠鏡 ラプトル50とラプトル60

弊社のベストセラー商品である
ラプトル50が発売されたのが2007年9月5日
ラプトル60が発売されたのが2010年7月3日

ラプトル50は発売開始からもう12年
ラプトル60も発売開始から9年


両方合わせると数万台を販売した文字通りのベストセラー天体望遠鏡です。低価格品は、外国製品が幅を利かせる中で、全てのパーツを日本で生産し組み立てする製品が、アマゾンでの販売で独走し、ここまで長きに渡って売れているのは、珍しい事ではないでしょうか。

ラプトル50
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ラプトル60
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低価格帯の望遠鏡の中で、圧倒的な性能と使いやすさ、手抜きの無い光学機器として基本を全て押さえた作り。はじめて天体望遠鏡を使う子どもたちが、何を必要として、なにを必要としないか。どうやったら使いやすくなるかを徹底的に追求した結果がベストセラー製品となったポイントであると私は考えています。ラプトル50とラプトル60は、初めて望遠鏡を使うこどもたちが、こどもたちだけで、出来るだけ簡単に、自分たちだけの力で月や土星や木星(操作になれてくれば重星や星雲、星団も)視野に導入し、ピントを自分で合わせて、星空観察ができることを最優先に考えて作ったのがラプトル50やラプトル60という天体望遠鏡です。


こども用望遠鏡の条件をリストアップしてみます。

1.使用前にセットアップや調整の必要がない。

2.重量はできるだけ軽く

3.装備はシンプルに

4.振動は抑える(100倍程度で)

5.ガタやブレのない滑らかな動き

6.直感的な操作だけで使える単純な構造でこどもが理解できる単純な構造

7.良好な見え味

8.できるだけ安価に。理想的には1万円程度、高くても2万円まで


8つのポイントがあります。

しかしベテランの天文家から見ると、光学式ファインダーがないのはだめかもしれません。微動装置がないのも失格。そもそもそんな小口径で低倍率でははなんにも見えない。色々言われたこともあります。そうでしょうか?
それらの指摘は、大人にとっては、半分当たっているとも言えない事もないですが、半分が完全な的外れと言えます。はじめて望遠鏡を使うこどもにとっては100%的外れとも言えます。

光学式のファインダー(ちいなさ照準用の低倍率の望遠鏡)には大きな欠陥があります。観測まえに光軸合わせという調整作業が必要になります。光軸調整に慣れたベテランであれば、1分もあれば調整は終わりますが、光軸合わせは大人でも習熟に時間がかかります。最初は10分も20分も格闘する羽目になります。そして問題なのは、光学式ファインダーの光軸調整が出来なければ、視野の狭い望遠鏡本体の視界に見たい天体を入れる事も困難で、月のクレーターすら見ることができません。望遠鏡で星空観察するに当たって最も大きな挫折のポイントなのです。

○結論 調整の必要がなく、だれでも直感的に使える覗き穴ファインダーがこどもにとって一番使いやすい。

微動装置の装備。まともな微動装置があると望遠鏡が重くなります。反面、望遠鏡の台に多少のガタや緩みがあっても、ごまかしが効くという製造側の言い訳のメリットがありますが、小学校低学年のはじめて望遠鏡を使うこどもにとっては、望遠鏡全体が重くなってしまうデメリットと、一部の片持ちフォーク式マウントを除き、微動装置を動かす前に、上下軸、水平軸のクランプの操作が必要になり、操作の煩雑性が増すというデメリットがあります。大人目線で見ると、微動装置の装備は、メリットもありますが、デメリットも多いのです。

○結論 微動装置を装備しない代わりに、ブレやガタのない滑らかに動くフリストップマウントが軽量化、低価格化、直感的な操作を低価格で実現する現時点での一番の方法である。


『閑話休題』
滑らかな動きでガタがないフリーストップで微動装置を装備した片持ちフォーク式経緯台は、そういう意味ではどんな初心者にとっても理想的な架台であるのは、100パーセント同意できます。良質な望遠鏡や付属品を含めたフルセットで、2万円を切る販売価格を実現できればという前提条件が付きますが。NEXTジェネレーションラプトル望遠鏡で実現したいものです!

3.装備はシンプルに

バローレンズや延長筒など、使い方が難しくなる付属品を必要としない設計とする。天頂プリズムを付けると、延長筒を外さないとピントが出ない望遠鏡はダメ。天頂プリズムや天頂ミラーを使用する時でも、使用しない時でも、ドローチューブのストロークを長くして延長筒の取り付けや取り外しはなしに、ピントが合うようにしないとダメです。
大人でも当たり前のことでも、こどもでは理解が難しいこともあるのです。
また良くある天頂プリズムや天頂ミラーを付けないとピントが合わない望遠鏡ももちろんダメです。

4.振動は抑える(100倍程度で)5.ガタやブレのない滑らかな動き

振動を抑えるのは重要です。架台の強度を増せば増しただけ振動を抑えられる。しかし架台の強度を増そうとすると、重量もコストもどんどんと上がって行きます。販売価格や重量を抑えなければならないこども用の望遠鏡では、どこかで諦めなければなりません。
そこで、ラプトル50やラプトル60を開発するにあたり、『100倍程度』で観察した時に、快適に使える、観察に支障のない強度を備える事を目標としました。『ガタやブレのない滑らかな動き』に関しても100倍程度で快適に使える、支障なく使える事を目標にしました。

6.直感的な操作だけで使える単純な構造でこどもが理解できる単純な構造

手を添えて望遠鏡を見たい天体の方向へ向けて、覗き穴ファインダーで狙いを付けると、望遠鏡の視界に見たい天体が導入できている。これだけの単純明快な操作だけで天体望遠鏡が使える。そういう望遠鏡がなかなかラプトル50やラプトル60以外にないのが現状です。単純な構造のおもちゃ並みに操作が楽でないと、こどもは飽きてしまうのです。

7.良好な見え味

良好な見え味を実現するには、どうすれば良いのでしょうか。
いくつかのポイントがあります。

・高精度な光学系
高精度な日本製のレンズが必須です。
・正確な組み立て
組み立て時にレンズの配置や、部材ひとつひとつが正確に作られていなければ、組み立てた時に光軸がずれてしまいます。どんなに高精度なレンズでも、組み立てても出来るのは、よく見えない望遠鏡になってしまうのです。
・徹底的な内面のつや消し、遮光環の正確な配置
望遠鏡の筒の内側は、外からはなかなか見えません。それだけに入門用望遠鏡では手抜きされたものも多いのです。ラプトル50やラプトル60は、良好な見え味を実現するために、『高精度な光学系』と『正確な組み立て』にとても多くのコストを割いています。価格の安いラプトル50に関しては、望遠鏡の外装の塗装を全て諦めなければならないほどでした。その証拠に、三脚は塗装より安い金属メッキ。望遠鏡の筒は無塗装だったりします。塗装を塗った方が高級感がでますが、それで価格が上がったり、内面のつや消し塗装を省いたのでは、本末転倒であると考えたのです。実際ちまたで売られているこども用望遠鏡の多くが、外装はメタリック塗装で見栄えだけは良くしているのですが、外観からはわからない内面のつや消し塗装や遮光環を省いてしまったものがとても多いのも事実です。内面のつや消し塗装や遮光環を省くとどうなるか。月を見ても、明るい惑星を見ても、視界のコントラストが上がらず、白浮きしてしまい、クリアなすっきりした見え味にならず、せっかくの感動が薄れてしまうのです。

ラプトル50やラプトル60を売り始めて、以外だった事があります。それは、大人の入門者にも人気になった事。女性に人気の望遠になった事、そして何より、天体観測を何十年も楽しんでいるベテランの皆さんが自ら普段使いの望遠鏡として購入頂いていることです。
こどもにとって使いやすい望遠鏡というのは、大人やベテランにとっても使いやすいということだったのです。

ベテランの皆さんは、大きな天体望遠鏡を持ちそれを使いこなされている方も多いのですが、普段仕事をされている平日に、寝る前にちょっとだけ星が見たいなと考えたとしても、大きな望遠鏡は、見る前にセットアップするのにも時間がかかります。数十キロも重量がある望遠鏡を、外に出す労力は大変なものです。もう少し小型で軽量な望遠鏡でも、重さが五キロも十キロもある大人用の入門機でも、平日の夜のわずかな時間、夜空に見えている月や惑星を見るのに、それをベランダや庭に出すのは結構大変です。
ラプトル50は、重さが1.5kg、ラプトル60でも2.5kgしかありません。玄関の隅や部屋の隅に普段は置いておき、使いたい時にパッと持ち出し、軒先に持ち出して、5分か10分だけちょっとだけ見てすぐに撤収するデイリーユースの望遠鏡として、こどもたちだけでなく、この道何十年のベテラン勢にも愛されている望遠鏡。それがラプトル50とラプトル60という天体望遠鏡なのです。

国立天文台の副台長の渡部潤一先生は、世界最大級の望遠鏡であるすばる望遠鏡(口径8.2m)で太陽系内の小天体の研究をしているような先生ですが、ラプトル50の熱烈なファンで、枕元にラプトル50を置いているそうです。そして見たい時に軒先にラプトル50を持ち出して様々な天体を楽しんでいるとお聞きしました。

また星に関わる民俗や伝承の研究者の北尾浩一先生は、ラプトル60を普段使いの望遠鏡として使って頂いていて2019年12月5日放送のNHKの宇宙番組『コズミックフロントNEXT』で、愛機のラプトル60が登場します。みなさんもぜひ番組をご覧になってくださいね。

コズミック フロント☆NEXT選「占星術に魅せられて~星座をめぐる物語~」
https://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2019-12-05/10/17768/2120245/

NHKのBSプレミアム コズミック フロント☆NEXT
12月5日22時から23時です。北尾先生とラプトル60が登場するのは、22時40分すぎくらいからとのことです。 


朝日新聞のインタビューでも、北尾先生の背景にラプトル60が写っています。
https://book.asahi.com/article/11714982

ラプトル50とラプトル60がどのような経緯で作られ、どんなコンセプトで作られたのかを今回改めてブログ記事にさせていただきました。楽しんで頂けたら幸いです。さらにベテランの天文ファンの多くに指示され、初心者用の望遠鏡として、弊社製品を長年に渡り推薦頂けていることに心より感謝しております。

今後ともスコープテックをよろしくお願い申し上げます!


2019年11月29日
株式会社 スコープテック 
大沼 崇

プロフィール

solunarneo

Author:solunarneo
2020年初頭より、スコープテックの天文情報やリリースなどは、ワードプレスベースの新ブログへ移行します。

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