間も無く火星最接近です。

 来る5月31日に最接近する赤い惑星「火星」本日からその火星の毎日23時の火星の表面模様をブログにアップします。

 2年2ヶ月ごとに最接近を繰り返す火星。今回の接近距離は約7500万キロ、その距離は毎回変わるが今回は約7500万キロ。接近距離としては中接近という条件です。火星の接近は2年2ヶ月ごとに起こるということを先ほど述べましたが、火星の太陽の周りを回る軌道は地球の軌道に比べるとかなり楕円軌道なので、その軌道のどこで地球と接近するかによって毎回接近距離がかなり違うのです。

 火星の近日点(太陽を回る軌道上で太陽に一番近い時)付近で地球に接近すれば接近距離は約5600万km程度となるが、遠日点付近(太陽を回る軌道上で太陽に一番遠い時)に地球に接近すると1億kmと2倍近く距離ちがうのです。軌道を公転するにつれて地球から見る他のどの惑星よりも大きく明るさが変化する。これは、火星が地球から最も離れる時には最も近づいた時の7倍以上も距離が離れるためである。最も観測に適した時期は32年ごとに2回、15年から17年をおいて交互におとずれ「大接近」と呼ばれる。

 遠日点付近での接近を小接近と呼び、近日点付近での地球との接近を大接近と呼びます。距離が二倍近く違うので、小接近と大接近では、地球から同じ倍率で見ても見える直径(視直径)が二倍近く違い、面積比での違いは4倍にもなるので小接近と大接近では同じ望遠鏡同じ倍率で見ても模様の見え方が全然違ってきます。大接近時にはより小さな望遠鏡でもくっきり見えることになります。

 今回は中接近(距離約7500万キロ)なので、丁度その中間位の大きさです。弊社の一番小さな望遠鏡ラプトル50で、ぎりぎり黒い染みのような模様が見えています。口径8センチのアトラス80であれば、極雲と呼ばれる、極上空にかかる灰色の雲や極冠、黒い模様の火星の自転に伴う変化が見てとれます。


今は地球から見ると満月のように、全面に光があたり真ん丸に見えますが、6月も半ばに近づくと、少し欠けていびつに見えてきます。


火星の模様は黒い部分、オレンジ色の部分、白い部分など色が見えますが、それぞれなんなのでしょうか。
黒い部分は岩石がちな部分。オレンジ色の部分は砂漠のような砂がちな部分。白い部分は極冠と呼ばれるドライアイスと氷が凍りついている部分や火星表面に発生した霧や上空の雲です。

そして時々起こるのが砂嵐です。砂嵐が発生すると砂嵐が発生している地域の模様は見えなくなります。激しいものでは火星全体を覆うような大規模砂嵐が発生し一切模様が見えなくなる事もあります。これは大黄雲と呼ばれる大砂嵐です。

月を観察していても、月には大気が全くないので月に雲がかかったり霧が発生したり、砂嵐が起こりクレーターが見えなくなることはないですが、火星には薄いながらも大気があるのでこのような気象現象が観察できるのです。

火星全体が大規模砂嵐で覆われると、肉眼で見えている火星の色も、普段より赤みが薄くなるのが分かることがあります。
今日は、なんか色が薄いなぁと感じたらもしかすると火星全面を覆うような大黄雲が発生しているかもしれません。


下の画像は本日5月26日から5月31日までの、毎日23時の火星表面の模様のようすです。アストロアーツのステラナビゲーターVer.10でシミュレーション画像を作成しました。望遠鏡で見ると逆さに見えますのでご注意ください。
天頂ミラーや天頂プリズムを使ってみると、上下はこの画像のままですが、左右が逆に見えます。

※ 6月1日からの火星表面模様は、後日こちらにアップしますね!
お楽しみに!


基礎知識はこちらをクリックしてください!
↑火星の望遠鏡での見え方

レッドプラネット赤い惑星火星の秘密

火星の模様に関して

5月26日23時ごろ



5月27日23時ごろ




5月28日23時ごろ


5月29日23時ごろ



5月30日23時ごろ



5月31日23時ごろ






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火星の模様の変化

画像はアストロアーツの星空シミュレーションソフト ステラナビゲーターで生成しています。

火星の自転周期は24時間40分

地球の自転周期は、みなさんご存知の通り24時間です。

毎日同じ時刻に火星を観察すると、約40分ずれていきますので、翌日には少しだけ模様がずれていきます。毎日同じ時刻に観察して火星の全周の模様を一通り見るには、一ヶ月ちょっと掛かる事になります。
結構焦れったい訳です。

下の二枚の写真は、2016年5月31日23時30分と、その24時間後の2016年6月1日23時30分の火星の模様の見え方の変化です。ごく僅か(約40分)分模様が変化しているのが分かります。


2016年5月31日23時30分


2016年6月1日23時30分




一方、当日に時間をずらしながら観察してみるとどうでしょうか。2016年5月31日23時30分から2時間置きの模様の変化を見てみましょう。

2016年5月31日23時30分の模様の様子


二時間後
2016年6月11日1時30分の模様の様子


さらに二時間後の
2016年6月1日午前3時30分の模様の様子


より広い範囲の模様を観察できるのが分かると思います。
火星の表面模様のより広い範囲を短い間に観察するためには、一晩に何度か天体望遠鏡を火星に向けて観察する方が良いことが分かります。


次回は『火星の模様』 に関して。

レッドプラネット赤い惑星「火星」のひみつ

火星が月末にかけて見頃ということで、今週からこのブログでは火星のお話を何回かに分けてしようと思っています。

火星は地球と同じように硬い岩石でできた惑星で、太陽系に存在する地球型惑星(水星、金星、地球 火星)のひとつです。太陽系の惑星は大きく三つに分類されています。

硬い岩石できた「地球型惑星」岩石惑星、大きなガスの塊で地面のない「木星型惑星」巨大ガス惑星(木星と土星)、大きな氷の核をもつ「天王星型惑星」巨大氷惑星(天王星と海王星)です。


まずは基礎知識的なところから.......

火星の一年(太陽の周りを一周する)は地球の365日に対し、687日になります。

地球の太陽の周りを回っている軌道は、ほとんど真円ですが、それと比べると火星の軌道はかなりの楕円です。太陽に一番近ずいている時と遠ざかっている時は2割も距離が違います。平均的には地球~太陽間の距離の1.5倍離れた場所を回っています。

その楕円軌道のせいで、一番太陽に近い時(近日点といいます)と一番太陽から遠い時(遠日点)では、かなり陽射しが変わるはずです。具体的にいうと1.5倍くらい日射量が変わるのです。大気も地球の百分の一位しかないですから、気候変動もかなり大きいと想像しています。

地球に比べると半分以下の日射量となりますから、かなり寒い世界です。

火星の表面の気温は、
最低気温はマイナス140度 平均気温はマイナス63度 最高気温は20度ほどです。

ちなみに地球は.....
最低気温はマイナス89度 平均気温は15度 最高気温は60度ほどです。

比べると、火星がいかに寒いか分かります。

さて火星の直径は、6,794km 地球の直径12,756kmと比べると半分の大きさになります。
参考までに地球の衛星である月の大きさは3,476kmですから火星の約半分の大きさですね。

地球の衛星は月ひとつですが、火星には衛星が二つあります。名前はフォボス(Phobos)とダイモス(Deimos)
ジャガイモのような形をした小さな衛星で大きさはフォボスが27.0 × 21.4
× 19.2 km ダイモスが15.0 × 12.0× 11.0 kmしかありません。

写真はアジア初の火星探査を成功させてインドの火星探査機により撮影された火星です。
日本も中国も探査に失敗した火星探査機を成功させたインド、ちょっと羨ましいですね!

次回は火星をもう少し掘り下げてみたいと思います。お楽しみに!

Copyright 2014 ISRO/インド宇宙研究機関






ゴールデンウィークの星空観察 その5

この5月末に火星が最接近します。最接近を控え、夏の星座のさそり座でとても明るく赤く輝いています。

火星は、地球の軌道のすぐ外側をまわる惑星です。直径は地球の半分ほどしかなく、地球に比べて1.5倍くらい太陽から遠くにあるのでとても気温の低くその平均気温はマイナス50度以下で地球の南極以上に寒い世界なのです。
望遠鏡で見ると、季節的な模様の変化が観察できる事などから、昔は高度な文明を持つ火星人がいるのではと推測されたり、H.G.ウェールズのSF小説「宇宙戦争」に登場するタコのような姿の火星人は特に有名です。そして最近は、各国による火星探査で水が存在する証拠やもしかしたらバクテリアのような生命体が存在する可能性も出てきました。

特にここ15年の火星探査の進展は目覚ましく上空からの探査だけでなく、実際ミニバンサイズの巨大な無人探査車両が今日も表面を走り回り、表面の探査をしているのです。


 この春はその火星が地球に2年2ヶ月ぶりに接近します。それもさそり座という有名な星座で大きなS字のカーブを描きながら5月末に最接近します。その際にとても明るくなり、夜半過ぎの南の空でどの星よりも明るく輝き、1等星の15倍以上の明るさでとても明るく見えます。

 火星は、ギリシア語ではアーレスといい、ギリシア神話に登場する戦を司る神で、その赤い色が戦争や戦いを想起させる事から名付けられたものと思われます。そして接近時には普段の数十倍以上も明るくなる事から夜空に燦然と輝き大変目立ちます。今年の春は、星座番付でも横綱級に有名な星座である「さそり座」で明るく輝いて見えるので、大変見応えがあります。

 今回火星が明るく輝くさそり座には、アンタレスという有名な赤く輝く一等星があります。このアンタレスは、アンチ アレースという意味で、それが短縮されアンタレスと呼ばれるようになったものです。アーレスは火星、それに対抗するものアンチという意味から来ているのです。

 接近時の火星の明るさには負けますが、火星に対抗するように赤くまたたくアンタレスと火星が並んで輝くようすはいつも見られる訳ではなく、特に今回のように一等星の10倍以上の明るさで輝く火星がアンタレスに並ぶのは2031年5月まで待たなければなりません。

下の図はアストロアーツのステラナビゲータで描画した3/1から10月中旬まで10日置きの火星の動きです。さそり座の頭からいて座に大きなS字カーブを描きながら移動している様子がわかります。

同じくさそり座で小さくカーブを描いて移動しているのが土星です。火星の動きがいかに大きいか分かります。それは土星に比べて火星がとても地球に近いためです。

こちらはアストロアーツさんの「ステラナビゲーター」で作成しました。
(クリックすると拡大して見られます。PCですと一度クリックすると同じ大きさで画像が開き、もう一度クリックすると大きく拡大されます。)



地球の直径と比べると
月は約1/4
火星は1/2
土星は9倍
太陽は109倍
の直径になります。

地球からの距離は
月までは約37万キロ

それぞれ月までの距離と比較すると

火星はその約200倍の距離(7500万キロ)5月末時点
土星は3,600倍の距離(13億5000万キロ)5月末時点
太陽までは400倍の距離(1億5000万キロ)
になります。

月はあんなに大きく見えるのに、月に比較するとずっと大きな惑星が望遠鏡で拡大して観察しても小さくしか
見えないのは、距離が遠いからなのですね。

火星は、月の2倍の直径がありますが、月の200倍遠くにあるという事は、地球から観察すると月の100分の1の大きさでしか見えないという事になります。これは望遠鏡で100倍の倍率で観察すれば肉眼で見る満月とほぼ同じ大きさで見える計算になります。

また土星は月の3600倍遠くにあり、月の約36倍の大きさの天体なので、3600÷36=100となり、やはり肉眼で見える月の1/100の大きさで見える事になります。ただ土星には地球が横に20個並ぶほどの大きな輪っかが取り巻いているので輪を含めればもっと大きく見えます。輪を含まない土星本体と火星の地球から観察できる大きさはほぼ同じということになります。

こちらはアストロアーツさんの「ステラナビゲーター」で作成した画像です。
(クリックすると拡大して見られます。PCですと一度クリックすると同じ大きさで画像が開き、もう一度クリックすると大きく拡大されます。)



惑星の模様は、いきなり望遠鏡を覗いてもすぐに良く見える訳ではありません。なぜ月の地形のようにすぐに良く見えないのか。
模様が見にくいのには、理由があります。

1.模様のコントラストがとても淡いのです。私たちが普段目にする印刷物に比べて惑星の表面の模様はとても薄いのです。

2.それと私たちは地上から望遠鏡で天体観測をしますが、地球には大気があり、その透明度や大気の揺らぎで邪魔をされてしまいます。地球に大気が無ければ惑星の模様はかなり見やすくなるのですが......

3.目が淡い濃淡や明暗を見る事に慣れていない。

ですから惑星の模様を観察するのはとても大変と言えます。どうすれば良いのか。3つポイントがあります。

1.に対しては、どのような模様が見えているのか、事前に把握することです。惑星は見るタイミングよって見えている模様も変わって行きます。自転しているためです。

2.何度も観測していれば、条件の良い時にそのうち当たるはずです。特に重要なのは、大気の揺らぎが少ない時に観察することです。月を見ていると気づくと思いますが、月を見ていて月のクレーターがゆらゆら揺れて見える時より、揺らぎが少ない時の方がシャープに見えると思いますが、そんな時に惑星を見ると模様も良く見えるはずです。そして地平線からの高度ができるだけ高い時に見ると揺らぎの影響は少なくなります。

3. 毎回惑星を観察する時は、できるだけじっくり見る事です。より楽な姿勢で見る事を心がけましょう。椅子に座って無理なく観察することは重要です。姿勢に無理があると集中力が途切れ見える模様も見えなくなってしまうのです。

このような事を心がけて、毎回観測を重ねていけば、小口径の望遠鏡でもより惑星観測を楽しめるようになるだけでは無く、将来より大きな望遠鏡を手に入れた時には、しっかり眼も訓練され望遠鏡の能力を活かしきれるようになることでしょう。

口径5センチから10センチの望遠鏡で見た火星の様子。シミュレーション画像
(クリックすると拡大して見られます。PCですと一度クリックすると同じ大きさで画像が開き、もう一度クリックすると大きく拡大されます。)





なお木星の観察に関しては、過去の記事
木星のひみつをご覧ください。













ゴールデンウィークの星空観察 その4

ゴールデンウィークの星空観察 その4

今年の土星は、とても見ごたえがあります。それは土星のリングは毎年見え方が違うのですが今年と来年は特に輪が南北方向に開いて見えてとても見事なのです。土星のリングは下の画像に示す通り、周期的に輪が開いて見えたり、閉じて見えたりします。
今回のように輪が開いて見えるのは、次は2031年頃になってしまいますから、ぜひ今のうちに見て欲しいのです。

今回は、上段にアトラス80(口径80mmの天体望遠鏡)で見た土星。下段にラプトル50(口径50mmの天体望遠鏡)で見える土星を表示しています。(だいたいこんな感じで見えます)

小さな天体望遠鏡であるラプトル50でも、リングの変化の様子はちゃんと観察できます!

毎年観察していると、こんなに見えるようすが変わっていくものなのですね!このゴールデンウィーク是非土星を観察してみてくださいね。

土星の見つけ方は、ゴールデンウィークの星空観察 その2をごらんください!

次回その5は、土星の直ぐ近くに見えている火星の観察を説明したいと思います!お楽しみに!




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