皆既月食中の月の表面や色は毎回異なります。

皆既月食を何回か観察していると、毎回月面の色や明るさが異なる事に気が付きます。フランスの天文学者のアンドレ・ダンジョン(1890-1967)は月食の明るさを評価するための尺度となるダンジョンスケールを考案しました。
下の図版をごらんください。明るさと色によってL=0 から4までの5段階で表されます。

0 Very dark eclipse. Moon almost invisible, especially at greatest
eclipse.
とても暗い月食、皆既食のうち、本影にもっとも深く入り込む頃は、肉眼ではほとんど見えない


Dark Eclipse, gray or brownish in coloration. Details distinguishable only with difficulty.
暗い月食で、月面は灰色から焦げ茶色で細かい部分を見分けるのはむづかしい


Deep red or rust-colored eclipse. Very dark central shadow, while outer edge of umbra is relatively bright.
濃い赤や錆色の月食で、比較的明るい本影の周辺部とくらべ、本影中心部はとても暗い
3
Brick-red eclipse. Umbral shadow usually has a bright or yellow rim.
赤レンガ色の月食で、本影の周辺部分は、明るく黄色い縁取りがある。


Very bright copper-red or orange eclipse. Umbral shadow has a bluish, very bright rim.
とても明るい月食、明るい赤銅色やオレンジ色の月食。本影の周辺は青みがかった明るい縁取りがある。



ダンジョンスケールでのL値は、皆既食の中心時間帯に肉眼で観測し測定するのが良いでしょう。
ちなみにL値は、本影の中心からの角距離により月面の場所によって異なる値を示すものでもあります。

L値に影響を与えるパラメータはいくつもあります。地球の本影のどの部分を月が通過するかも重要なことですし、火山噴火は火山灰を大気圏に撒き散らし、噴火後数年にわたり赤黒く暗い月食となる原因の一つでもあります。

ピナツボ火山の噴火は1992年12月の暗い皆既月食において、多くの観測者がL=0の最も暗い月食として報告をしました。

また太陽の活動周期が月食の明るさにいくらかの影響を与えているようです。


また国立天文台は、今回の4月の皆既月食で観測とその結果の報告のキャンペーンを行います。

下記に詳細の説明がありますのでぜひごらんください。

専用の用紙で観測報告をしてみてください。

こちらになります>こちらをクリック








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4月4日(土)月食をみよう!




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月食は、地球の影に月が入り込む現象です地球の影に入った月は全く見えなくなるはずです。実際は下の写真の様に影の中に入ると、満月本来の明るさの数千分の一とか数百万分の一の明るさにはなりますが、レンガ色や赤銅色の薄暗い満月として観察できます。これはなぜでしょうか?

それは地球には大気があるためです。上図をご覧ください。太陽の光のうち地球の大気に入った光は大気を通り抜ける時に、空気中に浮いているチリや水蒸気に邪魔されて波長の短い青い光は散乱され、波長の長い赤い光が通り抜けていきます。(本来白っぽい太陽が夕日や朝日のように地平線に近いと赤く見えるのと同じ原理です。)そして大気を通り抜ける時にレンズのように赤い光が屈折して影の中に赤い光が入り込むことによって影の中に入り込んだ月の表面が赤く美しく色付くのです。

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撮影:FUMIKI MUROYAMA

この色彩が美しい皆既月食の観察場所に関しては前回のブログでもお話ししましたが、今回はより美しい姿を観察するための双眼鏡や望遠鏡のお話しをしたいと思います。

月食は双眼鏡や望遠鏡を使わなくて、肉眼でも観察が出来ます。たくさん星が見える街灯がない海や山ならその色の変化も肉眼で楽しむ事ができるでしょう。口径30mmから50mmで倍率が6倍から10倍程度の双眼鏡(できれば射出瞳径4mm以上)の双眼鏡があれば、赤く染まった月の美しいグラデーションや月の周りにたくさん輝いている小さな星たちの瞬きを見る事ができるでしょう。

天体望遠鏡なら、出来るだけ倍率を落ちして、丸い視野の中にすっぽり月が入る十数倍から数十倍程度の低い倍率がオススメです。

これらの光学機器で見ると口径50mmの小さな望遠鏡や双眼鏡でも、肉眼の数十倍にもなる光を集める能力で赤く染まった月面のグラーデーションがとても美しく見えるのです。特に今回は地球の影の淵をかすめる月食なので、影の淵の方は青い光を含んでいる場合があり、赤から青いグラデーションが見えるかもしれません。

これはブルーバンド、ブルーフリンジ、ターコイズフリンジと呼ばれる現象で、前回の2014年10月8日の月食でも観察されています。




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ブルーバンド、ブルーフリンジ、ターコイズフリンジですが、下の写真は昨年の10月8日の皆既月食の際に撮影されたものです。本影の中は赤い波長の光が優勢ですが、本影のもっとも外側の光は青い波長の光が優勢でこのような現象が起こるようです。大気の上層の部分にオゾンがリッチなオゾン層があり、この部分を透過した光は、最初説明したのとは逆に赤い光が散乱し青い光を透過することから起こる現象のようです。ちなみにターコイズとはトルコ石の事で、フリンジとは縁取りの事です。本影の一番最外周の青い光の縁取りということになりますね。トルコ石は美しい青色をしているのでこのように名付けたようです。

またこの現象は、肉眼では以前から観察されていたものの、フィルムを使っていた時代にはなかなか撮影することができませんでした。


 調べたところによると、撮影の際にデジタルカメラのホワイトバランスの設定をAWB(オートホワイトバランス)にすると写りやすいようです。もしくはRAWで撮影しても良いようです。ホワイトバランスを太陽光にすると写りにくいようです。

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下の図版は、皆既月食の時の月の周辺にある星の位置の図版です。アストロアーツのステラナビゲーターで作成したものです。月が完全に本影の中に入っている状態の時口径15センチから20センチほどの望遠鏡で見えると思われる星をプロットしてあります。星の下の数値は星の明るさ(等級)です。631は6.31等 1166は11.66等ということになります。空の条件にもよりますが、双眼鏡であれば9等くらいまでの星が見えると思います。普段満月のまわりは、ここまで暗い星は見えません。満月の強烈なあかりにじゃまされてしまうからです。
星空の中にぽっかり浮かぶ赤い満月はとても幻想的なながめになります。見逃さないようにしてください。

図版中の一番小さな円は、地球の本影です。その周りを取り囲む少し大きな円は半影です。そして一番大きな黄色い線の円は、視野にして約7度の円で標準的な双眼鏡の視界の広さはこのくらいになります。


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こちらは月の周辺の拡大です。望遠鏡で見るときはこちらをお使いください。同心円は、小さい方が本影、大きい方が半影です。その二つの円と同心円でない黄色い線の円は、視野が1度の視野円で50倍くらいの望遠鏡の標準的な視界の大きさになります。

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月食中に月が背後の星を隠す星食が起こります。20時33分に潜入(月に隠され)し、20時58分に出現(月のふちから再び出てきます)します。明るさが11.66等の暗い恒星なので観察には、口径20センチくらいの比較的大型の望遠鏡が必要になります。

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こちらの動画は米国のNASAによる前回の月食の説明動画です。全編英語ですが分かりやすく作られているので、英語分からなくても楽しめます。ぜひご覧になってください。



今回、ほかに月食に関して二つの解説記事があります。
こちらもご覧ください。

クリックしてごらんください。

皆既月食まであと一ヶ月切りました!月食の時間など

光と色の共演、皆既月食を暗い夜空で鑑賞しましょう。




光と色の共演、皆既月食を暗い夜空で鑑賞しましょう。

皆既月食を美しい星空の下で見たことがある人は、星空観察を何十年も趣味として続けているベテランでも案外と少ないものです。
満月はとても明るく、街灯やネオンで明るく照らし出された東京の空でも十分観察出来ますという半分間違った説明を私自身も何度もしてきました。

確かに、一通り楽しむだけであれば都会でも月食を観察することはできます。ですから「東京の空でも十分観察出来ます」とい説明はできます。しかしながらこれは、光と色の素晴らしい共演である月食を本当に市街地で楽しめるのかというと、街灯やネオンなどで照らし出された市街地の明るい空では、皆既月食という息を飲むような光と色の美しい天文現象を楽しむことはできないのです。

満月はマイナス12.5等というとてつもない明るさで、人が月の前に立つと後ろにはっきり影を引く程の明るさがあります。しかし平均的な皆既月食での月は明るさは、満月の数千分の1から数百万分の1まで光を減じてしまいます。都会では、もともとの市街地の街灯が満月の時の月よりも明るく空を照らし出しているので満月があろうと、月が出ていない時間だろうと、もともと星は数える程しか見えませんから、皆既月食でも空の様子はそう大きくは変わりません。しかしながら、天の川が見えるような素晴らしい夜空で月食を見ると、月が欠けてくるにつれて、灰色だった夜空は暗くなり漆黒に近づいていきます。するとどうでしょう、沸き立つように月の周りに星たちが輝きを取り戻し、地球の影にすっぽり収まる皆既月食の時間帯にもなると、頭上に広がる星空は、それこそ銀の砂を撒いたような無数の星に覆われ息を飲むような美しさになるのです。皆既月食を美しい星空の下で見たことがある人は、星空観察を何十年も趣味として続けているベテランでも案外と少ないものです。
満月はとても明るく、街灯やネオンで明るく照らし出された東京の空でも十分観察出来ますという半分間違った説明を私自身も何度もしてきました。

確かに、一通り楽しむだけであれば都会でも月食を観察することはできます。ですから「東京の空でも十分観察出来ます」とい説明はできます。しかしながらこれは、光と色の素晴らしい共演である月食を本当に市街地で楽しめるのかというと、街灯やネオンなどで照らし出された市街地の明るい空では、皆既月食という息を飲むような光と色の美しい天文現象を楽しむことはできないのです。



 上の写真と下の写真を比べると随分と明るさも色も違うことに気づくでしょうか。皆既月食は、太陽と反対方向に地球が引いている、月の4倍の直径がある大きな地球の影を月が通り抜ける現象です。地球に大気がなければ真っ暗ですが、太陽光線のごく一部が、地球の大気を通り抜け屈折した光が地球の影に回り込み月をほんのりと照らしだした不思議な現象なのです。

 その色は、その時の地球の大気のコンディションで変わり、ほとんど灰色に近く肉眼で見えにくくなることもあれば、上の写真のように、薄いブルーから濃い赤への見事なグラデーションとして見えたり、下の写真のように、鮮やかなオレンジ色からレンガ色の鮮やかなグランデーションがでることもあります。そして月食の経過とともにそれが連続的に変わっていくのです。とても繊細でデリケートな色の変化なので市街地の明かりがとても邪魔になります。









4枚目は自分が昨年の10月8日に撮影した、自慢の一枚です。市街地では絶対に見ることも撮ることもできない皆既月食の赤い月明かりに照らし出され赤く染まった幻想的な雲を赤銅色の月が纏っています。すこし部屋を暗くして見てください。赤い幻想的な雲をまとった月が木のシルエットを前景に、背景にはたくさんの星たちがキラキラと輝いているのが見えるでしょうか。

この写真は、それだけで美しいですが、実際はこの何十倍も美しかったのです。写真では映しとることが出来ない素晴らし光のページェントがそこにはありました。

どうしても、どうしても、今度の月食を皆さんに星空が美しい場所で見て欲しいのです。




この赤い雲をまとった月の写真は、自分以外ほとんど撮影例がないのか、インターネットで検索しても出てきません。

太陽から放たれた光が地球に届き、そのほんの一部が地球の大気で屈折、地球の大気を通り抜ける間に、波長の短い赤い光は大気に吸収(散乱)され、38万キロ先の月面を赤く照らしだし、それがまた地球に戻ってきて上空の雲を赤く染めている......そう考えるとなんか感慨深いですね。


今度の4月4日(土)の皆既月食に関しては、このブログの以前の記事をご覧ください。

皆既月食の詳しいタイムスケジュールはこちら>クリック

次回は、肉眼でも観察できる月食を、さらに色彩豊かに楽しむための双眼鏡や望遠鏡を使っての観察方法を説明したいと思います。乞うご期待!!

二枚目の美しい写真は、弊社の屈折式天体望遠鏡、MURAMASA 60 MAXIでF.M.氏が撮影されたものです。

皆既月食まであと一ヶ月切りました!

昨年、2014年10月8日に皆既月食があり、それから半年後の2015年4月4日にまた皆既月食があるということで、皆既月食は頻繁にあるから見なくてもいいやと思っている方いるかもしれません。

しかしながら2018年の皆既月食もひとつは平日、あとひとつは日曜日ですが、朝方で月食の最中に沈んでしまう厳しい条件。2021年も平日で皆既食の時に月が昇ってくる厳しい条件、2022年も平日、2025年も条件は絶好ながら平日ということを考えると、今回の土曜日の月食を見逃してしまうと今向こう10年は家族で楽しめる皆既月食が無いということになります。

ですから、準備万端で観察に臨んで頂きたいのです。

下図をご覧ください。太陽が西の地平線に沈む頃の18時に東の地平線から昇り始める満月。昇り始めてすぐに月食が始まります。

子供達にとってもとても見やすい時間帯に月食が観察できます。

19時15分から欠け始め、どんどんと食がすすみます。20時54分には皆既月食となります。

月食は月面の色の変化と、光の変化が大変おもしろい現象です。肉眼でも楽しめるのが月食ですが、望遠鏡や双眼鏡があるともっと楽しめるのが月食です。

また月食の美しさ、ドラマッチクな天文現象として楽しみたければ、ぜひ天の川が見えるようなところへ遠征して欲しいです。街灯や屋外照明の多い市街地や郊外では、月食の織りなす光のページェントはほとんど見られないという事なのです。

次回は観測地の選び方と機材の選び方などを紹介したいと思います。楽しみにお待ち下さい。


※下図は二度クリックすると拡大します。



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