2013/03/22
群馬県みなかみ町藤原の湯の小屋温泉「葉留日野山荘」が40年の長い歴史の幕を引き、閉館してしまいました。
JR東日本ホテルズの「ファミリーオ新治」、天文好きのオーナーの「ペンション朝ねぼう」とともに、みなかみ町の星空鑑賞会などのイベントで年間10泊以上利用させて頂いていた秘湯の宿「葉留日野山荘」が40年の歴史に幕を閉じました。そろそろ泊まりに行こうと相談していた矢先、突然の閉館のお知らせのハガキがポストに届きました。
奥利根郡みなかみ町でももっとも奥地にある部落である藤原地区は、関東圏であるにも関わらず日本海側の気候帯に属し、冬の積雪量も多く、仕事だけでなく、雪道走行と雪景色を楽しむためにプライベートで何度も訪れました。
オーナーの高橋さん以下、若旦那と女将さんの三人が切り盛りし心温まるサービスは稀有のものであり、宿で供される料理も季節の山菜やキノコ、同地区で穫れるお米、魚。大変素晴らしいものでした。
もちろん、旅人の疲れを癒す源泉掛け流しの24時間いつでも入れる「秘湯の湯」は、夜間に星空を楽しむ我々星空ファンにとっても有り難いものでした。
葉留日野山荘は廃校になった木造校舎を改築した宿で、小学校だった時の雰囲気を残すユニークな宿でした。当時の講堂(体育館)が食堂になっていたり、そこに当時使われていたアップライトピアノが設置されていたり、学校特有の長い廊下や図書室など、構造や館内設備も贅沢なものはひとつも有りませんが、都会から訪れると、私も昔通った木造校舎の小学校の原風景そのもので、本当の意味で心安らぐ数少ない宿のひとつでした。
多い時は一晩に60センチもの雪が積もる事も。朝は若旦那が、除雪や車からの雪下しを早朝からしてくれます。僕らはゆっくり起きて、美味しい朝食を食べ普段とは違うゆったりとした時間を楽しむ事ができました。
春夏秋冬、さまざまな景色を見せてくれた藤原の自然。その自然は今年も変わりなくあると思いますが、常宿であった葉留日野山荘がもうそこには無いと思うと心にぽっかりと穴が開いてしまったようで、なんとも寂しい気持ちになってしまいますね。
夕食のひととき。
この後、焼いたイワナが出てきます。
旅道具をフィアット500に満載し、宿に行く前に一ノ倉沢へ立ち寄った。
食堂に射す朝日。もうこの清々しい朝の風景は見られないのか?
(株)スコープテック
代表取締役社長 大沼 崇